Stakeholders Talk 2

Lancers
Megumi Minoguchi
Minamiboso
Hideaki Sanada

ランサーズ株式会社地方創生グループ蓑口 恵美富山県南砺市出身。外資系PR代理店時代にて、外資企業の日本における広報戦略を担当。ITやスタートアップ企業が地域の暮らしを変えている現場を目にし、「誰もが大切な人のそばで働ける社会」を作りたいと考えランサーズに参画。2015年に鹿児島県奄美市との提携を始め、現在は22以上の自治体とパートナシップを結び地域の働き方改革実現に向けて全国を奔走中。千葉県南房総市消防防災課 副主査真田 英明氏千葉県南房総市和田町出身。高校時代までを南房総で過ごし、大学進学と同時に上京。大学卒業後は地元に戻り旧和田町役場に就職。平成18年3月の合併により南房総市役職員に。総務課、農林水産課、市民協働課、商工課等を経験し、平成29年4月から消防防災課に所属。

自治体が期待する地方創生の支援は、
地域住民が自走するための継続的なバックアップ。

海と山に囲まれた自然あふれる千葉県南房総市は、10年間で11%の人口減少、県内3位の高齢化率など、大きな課題を抱えている。課題解決のため南房総市が地域活性の一手に選んだのは、国の方針と市の強みをかけ合わせた仕事創出。子育て世代を増やす総合戦略の実現に向けて、子育て世代や女性が輝く働き方モデルづくりが始まった。

地域課題の解決には、時間と場所によらない仕事創出が必須

蓑口)南房総市さんとの取り組みは、2017年で3年目となります。真田さんは今期から別の課へ異動なさいましたが、一緒に取り組んだ2年間で良いスタートが切れたと思っています。
当時を思い返して、どうして地域活性のパートナーにランサーズを選んでくださったのかを聞かせてください。

真田)南房総市は半島の先端に位置しており、東京と車で1時間半程度という、遠すぎないけれども通勤するには距離があるという立地にあります。東京圏のほかの地域と比べたら、都心近郊でありながら通うのは難しいという微妙な条件です。
都心へ通うのが困難となると、地元で働かざるを得ません。しかし、南房総市には仕事がない。正しくは、住民が希望する職種の働き口がないのです。
有効求人倍率は1.7倍という数値ですが、その多くが介護や医療、宿泊や飲食業界の求人になります。一方で市民が希望するのは、事務系、デスクワーク系の仕事。有効求人倍率からは見えてこない就職難がありました。

蓑口)希望する仕事がないことで、住民の皆さんは都市部へと出てしまうんですね。一方で、住民が希望する仕事が市内や通える範囲にはなかった。地域が持つ課題の解決に必要だったわけですね。

真田)国が掲げる仕事づくりの方針として、時間や場所にとらわれない働き方、テレワークの推進がありました。それを取り入れることができれば、市内に住民の希望する仕事がないという課題を解決できると考えたのです。
同時に南房総市が地方創生を実現するために掲げた、子育て世代を増やすことにも繋がると思えました。子育て世代にとって仕事の有無は大きな課題ですし、時間の制約も大きな課題です。

地域課題は、見る角度を変えることで強みにもなる

蓑口)南房総市がクラウドソーシングという働き方に注目したのは、どんなことがきっかけだったのでしょうか。

真田)私が総務省主催の地方創生セミナーに参加したことですね。そのとき初めて耳にした「テレワーク」や「場所を選ばない働き方」と言う言葉がとても新鮮で、すごく興味を惹かれました。

蓑口)南房総市として、一番の課題であった仕事不足に対して、アンテナを高くして情報収集なさってたんですね。真田さんとしてもなんとか課題を解決したいということで、セミナーを機にクラウドソーシングを知り、ランサーズに連絡をくださった。

真田)地方自治体と連携したクラウドソーシング活用について、ノウハウがあると伺っていたので、南房総市においても活路を見いだせるようなアドバイスをいただけるのではないかと期待していました。
ネット環境さえあれば、いつでもどこでも誰でも仕事ができるというのは大変に魅力的です。なぜなら南房総市には、光ファイバーを市内全域に導入済みという強みがありました。課題がありながらも解決策となりうるアセットがあったんです。

蓑口)真田さんから連絡をいただいたときに思ったのは、南房総という土地柄がフリーランスにとって有利だということでした。
ランサーズが地方創生事業に取り組む中で、多くの土地に赴いて、たくさんのフリーランスの方々にお会いしてきました。中には都心から地域に移住した方もいらっしゃって、海のそばで暮らしたかったという声は多かったんですね。サーフィンが趣味であったり、とにかく海や山といった自然に囲まれて生活をしたいという。
さらに南房総市は東京へも遠くない地域。真田さんは微妙な距離とおっしゃいましたが、考え方を変えると車で1時間半というのは、ちょうど良い距離でもあるんです。2拠点居住という選択も可能ですし、シーズナルステイのような暮らしであれば、都心での生活から変化させたいと考える人が踏み出しやすい位置だろうと。

自治体には自治体の役割、ランサーズにはランサーズの役割

蓑口)最初にお話をしたのが8月くらいで、年度内に働き方セミナーを実施することができました。セミナーは2回開催して、それぞれ21名の住民の皆さんに参加していただけたわけですが、私たちの知らない困難はあったのでしょうか。印象としては、とてもトントン拍子に進めていけたと思っているのですが。

真田)ひとつだけ難しかったのが、子育てをしているお母さんが対象ということで、時間と場所をどう調整するかということでした。
保育園、幼稚園、小学校という、お子さんの年齢によってお母さんの時間の使い方が異なります。また南房総はエリアが広いため、どこで開催するのが最適なのかを見極めなくてはいけません。人によっては車で40分かかることもありますので、その間の託児をどうするかという問題もありました。

蓑口)なるほど。確かに幅広いお子さんの年齢層やエリアとなると、誰が子供の面倒を見るのかは課題になりますね。セミナーにはたくさんのお母さんが参加くださったわけですから、なんらかの方法で解決したんですよね。

真田)まずは子育て団体に、どの時間帯が集まりやすいのかを相談しました。そして南房総の子育て支援センターの先生に、託児の協力を仰いだところ快諾してくださって。本当に南房総市にいる様々な人の助けによって、セミナー開催にこぎつけることができたと思っています。

蓑口)順調に進んでいた裏には、真田さんや市役所の皆さん、住民のご協力があったんですね。場所や集客について真田さんがすべて引き受けてくださったことで、ランサーズとしてはカリキュラムの作成や事業の成功に集中することができました。
役割分担を上手く出来ていたことが、初年度のセミナー、そして2年目以降の成功につながったんだと再認識しています。もし自治体のスタンスが「ぜんぶお任せします」だったら、望んでいた成果はこのスピードで得られなかったはずです。

真田)私たち職員の仕事というのは、セミナーを例にすると、参加していただくことと学びやすい環境を整備することです。お子さんの心配をせずに、気持ちよくセミナーを受けていただく。そういう場と環境づくりこそが、住民の皆さんに提供すべきことだと思っています。

地域の魅力発信と、自走する仕組みづくりに期待

真田)2016年度からは、セミナーを受講した中から実際に仕事をするためのカリキュラムに参加いただきました。結果として月に10万円以上を稼ぐ方を筆頭に、数万円の月収を得る人が誕生しています。
スタートとしては100点満点かなと。他の自治体さんと比べても引けを取らない実績かと思いますが、蓑口さんが工夫をなさったのはどんなことなんでしょうか。

蓑口)参加者の中には、自信を持てなかったり期待ができなかったり、挫けそうになる方がいました。そこで、なぜ自分がこの働き方を選んだのかを考えてもらうような取り組み、自己分析などを取り入れることで、モチベーションをキープできるようにしたんです。
また、分からないことを先生に聞くのではなく、一緒に学んでいる仲間に質問して解消する流れをつくりました。同じ土地に住み同じ目的で集まった仲間、という意識を醸成する取り組みです。自己分析やコミュニティマネジメントに力を入れたことが、上手くいった一番の要因だと考えています。
とはいえ取り組みは始まったばかりですし、自治体として目指しているのはもっと先ですよね。子育てをしながら働く人が増えること、仕事がないという理由で住民が流出しないこと、自然豊かな土地に惹かれた人たちの流入があること。その実現に向けて、ランサーズに期待するのはどんなことでしょうか。

真田)おっしゃるとおりで、市としてもこれからが本番であると考えています。ランサーズには、これからも南房総市の活性に力を貸していただきたいと思っています。ひとつはクラウドソーシングをはじめとした南房総市での働き方や南房総市の魅力発信も一緒に取り組んでいけたら嬉しく思います。
もうひとつは地域でクラウドソーシング事業を回していくモデル作りのサポートです。例えば、セミナーを受講した住民が翌年以降は講師として、またはディレクターとして、新しくこの働き方に挑戦する方々に関わっていただきたいと考えています。そこでランサーズには、地域でこの事業をまわしていく、南房総市が自走するためのモデルづくりとバックアップのサポートも期待します。

蓑口)ありがとうございました。真田さんの想いを、後任の金井さんと実現させていきたいです。真田さんに「よくやった」とおっしゃっていただけるように取り組んでいきます。

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